Brief Summaries on Each Books
聖書各書解説 3
旧約聖書 -出エジプト記(Exodus)-
(旧約聖書94頁)
日本聖書協会 前総主事 佐藤邦宏

 「出エジプト記」には、エジプトで、奴隷のように扱われているイスラエルの人々を、主なる神が、どのようにして導き出されたかが書かれています。
 「出エジプト記」は、主なる神こそが、唯一の神であり、すべての被造物の支配者であり、神がすべてをお決めになり、誰もそれに逆らい得ないと教えていて、聖書が教える基本的なことの多くが書かれています。
 「出エジプト記」は、三つの部分に分かれています。最初の部分は、1章から13章までで、イスラエルの人々が、エジプトで、王から奴隷のように扱われている様子が描かれています。「人々は労働のゆえにうめき、叫んだ」(2:23)ので、その声が神に届き、モーセが、彼らを自由にするために選ばれました。モーセは、イスラエル人として生まれましたが、エジプトの王女の子として育てられました(1:22〜2:10)。
 モーセが、イスラエルの人々をエジプトから導き出そうとした時、エジプト王は、これを許しませんでした。それで主なる神は、エジプトに10の災いをもたらされました(7:1〜12:36)。その結果、エジプト王は、ついにモーセがイスラエルの人々を、エジプトから導き出すことを認められたのです(12:31)。ここには、例えば12章の「主の過越」にみるように、主なる神の怒りから、イスラエルの民がどのようにして逃れられるか大切なことが記されています。7節「その血を取って、小羊を食べる家の入り口にある2本の柱と鴨居に塗る。・・(12節)あなたたちの家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、わたし(主なる神)はあなたたちを過ぎ越す。わたしがエジプトの国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちには及ばない」。例えば新約聖書ペトロの手紙一 1:18〜20にある「キリストの尊い血」による贖いなどは、この過越の出来事を知ること無しに理解できない言葉でしょう。
 鴨居に血が塗られていない家、つまりエジプト人の住まいには、主なる神の怒りが及び、長子がことごとく死ぬという出来事が起こります(12:29〜36)。こうしてエジプト王ファラオは、とうとうイスラエルの人々が、エジプトから出国することを認めたのです。
 第2の部分は、14章から18章までで、モーセに導かれたイスラエルの人々が、聖なる山シナイ山に至るまでの物語です。エジプト王は、モーセの脱出を認めたものの、すぐに気が変わり、軍隊にその後を追わせました。しかし、主なる神は、エジプト軍を葦の海で打ち破り、イスラエルの人々は砂漠へ脱出することができました。そこには、食べ物や水か備えられていたのです。
 第3の部分は、19章から40章までで、主なる神が、シナイ山でモーセに、ご自身を顕わされ、十戒、契約の書を与えられたことが記されています。その中で、様々の規定が述べられていますが、同時に、人々が偶像を作ったり、神に従わなかった様子が記されています。
 特に十戒は、これを守らなければイスラエルの民、つまり主の民とはなれないという否定的な掟というより、むしろ生きることの積極的な意味を示しているのです。例えば、「殺してならない」(20章13節)という十戒の言葉は、主なる神とイスラエルの正しい関係の中では、「殺す」という状況は起こらないものだいうように読んでみたらどうでしょう。

「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」
(出エジプト記20:2〜3)


「出エジプト記」
イスラエルの民、奴隷となる
1:1〜21
モーセの誕生と成長
1:22〜25
神、モーセをエジプト王のもとへ送られる
3:1〜6:27
初めの九つの災い
6:28〜10:29
最後の災いと、最初の過越
11:1〜13:16
人々、葦の海を越える
13:17〜15:21
モーセ、人々をシナイ山へ導く
15:22〜18:27
十戒とその他の契約
19:1〜24:18
主が幕屋建設を指示される
25:1〜27:21
祭服、祭司、安息の規定
28:1〜31:18
人々、偶像を作る
32:1〜35
戒めの板、再び授与さる
33:1〜35:3
幕屋建設と祭司の服装
35:4〜36:7
幕屋建設の仕事
36:8〜38:31
祭司の服装
39:1〜31
幕屋建設の準備完了と建設の命令
39:32〜40:38


 この「聖書各書解説」は、聖書をお読みになるためのガイドの役割を果たすためのものです。ぜひ聖書そのものをお読みになってください。ご質問や、もっと知りたいと思われる方は、ぜひお近くのキリスト教会をお訪ねください。教会には、その歴史や伝統で、違いがある場合がありますが、もしお気に召さなかったら、別の教会も訪ねてみましょう。
 ご質問等、あるいは教会についてのお尋ねなど承りますので、ご遠慮なくどうぞ。

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