Brief Summaries on Each Books
聖書各書解説 60
新約聖書 -ルカによる福音書-
(新約聖書99頁) この解説の聖書は「聖書 新共同訳」(日本聖書協会)を用いています。
日本聖書協会 前総主事 佐藤邦宏

 「神の愛は、すべての人に注がれる」。「イエスは、すべての人の救い主として、この世に来られた」。この二つが、「ルカによる福音書」の中心のテーマになっています。聖書の中でも、よく知られている物語を、この福音書に多く見ることができます。それらはイエスが語られたものです。たとえば「善いサマリヤ人(10:25〜37)」、「『見失った羊』のたとえ(15:1〜7)」、「『放蕩息子』のたとえ(15:11〜32)」などです。イエスが徴税人ザアカイの家を訪問された話(19:1〜10)や、イエスと共に十字架にかけられた犯罪人に、イエスが「『はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる』といわれた」と言って約束されたこと(23:39〜43)などは、神の愛を示すものであるとして、ルカ福音書だけが記録しています。
 また、ルカは、他の福音書より、聖霊について多く語っています。たとえば、後に洗礼者ヨハネと呼ばれるようになったヨハネの誕生について、その誕生の時から「聖霊に満たされて」(1:15)いたとあります。天使はマリアに「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる(1:35)」と約束しました。イエスは、霊の力に従われました(4:1、14、18、10:21)。また聖霊は、神の贈りものだと言っておられます(11:13)。
 さらにルカは、イエスにとって、祈りがいかに大切なものだったかを告げています。イエスは、洗礼を受けた後、祈られました(3:21)。弟子たちを選ぶ前に祈り(6:12)、イエスご自身のことを語る前に祈り(9:18)、十字架にかかる前にも祈られました(23:34、46)。ルカは、祈りについて三つのことを教えています(11:5〜9、18:1〜8、9〜14)。
 ルカが伝えている大切なことは、貧しい人たちに対するイエスの姿勢です。「貧しい人に福音を告げ知らせる(4:18、7:22)」、「貧しい人は幸いである(6:20)」、あるいは「宴会を催すときには、むしろ、貧しい人、体の不自由な人、目の見えない人を招きなさい(14:13、21)」と言っています。ラザロの場合もそうです(16:20、22)。イエスは弟子たちに「自分の持ち物を売り払って施しなさい(12:33)」と言われています。
 イエスは、復活の後、焼いた魚を食べられた(24:42、43)とルカは記しています。それは復活のイエスが、幽霊のような幻の存在ではなく、確かに新しい生命を持たれたと言っているのです。ルカは、聖書の中に、もう一冊文書を書いています。「使徒言行録」と呼ばれるこの書に、イエスの復活後、その弟子たちに何が起こったかを書いているのです。これは、他の福音書には見られないことです。
 ルカは、最初の福音書に、イエスが天に帰られたことを書いていますが、その直前に弟子たちに語られた言葉を、次のように記しています。

「イエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて言われた。『次のように書いてある。《メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる》と。エルサレムから始めて、あなたがたはこれらのことの証人となる』(24:46〜48)」

「ルカによる福音書」の内容
0
ルカがこの福音書を書いた理由 1:1
洗礼者ヨハネとイエスの誕生 1:5 2:52
洗礼者ヨハネが伝えたこと 3:1 20
イエスの洗礼と荒野の誘惑 3:21 4:13
イエスのガリラヤ伝道 4:14 9:50
イエス、ガリラヤからエルサレムへ 9:51 19:27
イエスの最後の週、苦難と死 19:28 23:56
イエスは生きている 24:1 12
イエスの姿、そして天に帰る 24:13 53

 この「聖書各書解説」は、聖書をお読みになるためのガイドの役割を果たすためのものです。ぜひ聖書そのものをお読みになってください。ご質問や、もっと知りたいと思われる方は、ぜひお近くのキリスト教会をお訪ねください。教会には、その歴史や伝統で、違いがある場合がありますが、もしお気に召さなかったら、別の教会も訪ねてみましょう。ご質問等、あるいは教会についてのお尋ねは、承りますので、ご遠慮なくどうぞ。

2002 Aug. 25
TOP

BackNumber

/2002.Nov.25

/2002.Oct.25

/2002.Sep.25

/2002.Aug.25

/2002.Aug.25

/2002.Jul.25

/2002.Jul.25

/2002.Jul.25

/2002.Jun.25

/2002.Jun.25

ご感想はこちらへ 佐藤邦宏 <Kuni2sato@aol.com>

TOP