画像で見る聖書の歴史
資料編3
トーラー (モーセ五書)
日本聖書協会 前総主事 佐藤邦宏

 このコラムでは、聖書の歴史資料、写本、翻訳等を、画像でお目にかけようと思います。それはわくわくするような世界です。さらに聖書を身近に感じていただいて、読みたいという意欲をお持ちいただきたいと願ってお届けいたします。
 なお、わたしは、これらの画像の内、68枚ほどを、オーバーヘッド プロジェクター(OHP)のフィルムにして、多数の方々にご覧いただけるようにしています。ご利用いただければ幸いです。なお、この文の最後にご案内を掲載いたしますので、よろしければご利用ください。

3 トーラー(モーセ五書)
 画像で御覧いただいているのは、ティムという木製の容器に収められた「トーラー」つまり「モーセ5書」です。羊皮紙に手書きで書かれたものです。「モーセ5書」は、「律法」とも呼ばれますが、今日言う「旧約聖書」の最初の創世記から始まる5つの文書です。そこには、神と人間との関係、特にイスラエルの民と呼ばれるユダヤ人たちの基本的な在り方が示されています。神の必要によって創造されたという基本的な存在、主なる神との関係は、どのようにあるべきか。そして共に主を仰ぐ民族の、人と人との間柄、その社会性、そして未来まで含めて示された文書です。
 紀元70年、ローマ軍によってエルサレムが占領されてしまいます。さらに73年には、マサダの要塞に立てこもったユダヤの人たちが、ローマ軍に襲われ全滅するという悲劇が起こりました。それからユダヤ人たちは、イスラエルの西部ヤブネで、それこそ難民キャンプのようなところで辛うじて生き延びることができましたが、いつ滅亡させられるのか、不安の日々を過ごしていました。
 そのような中で、民族の精神と生存の基礎として今日言う「旧約聖書」の範囲と、それを筆写して保存し、用いる方法を定めます。その中でトーラーが、民族の最も中心となる支えであるとして、これを毎日一定の所を読む方法を定めます。やがて第2次対ローマ戦争が起こり、135年ユダヤはこれに敗退、国を追われ、以来20世紀まで、国土を持たない民族になりました。しかし、定められた方法で、トーラーを毎日そのコミュニティで読み続け、1900年近く、さまざまな迫害と困難に負けないで、「聖書の民」としての民族のアイデンティティ、そして主なる神への信仰を守り続けたのです。
 トーラーは、移動の度に群の中心におかれ、またこれを読めるようになることが、子供たちには大人と認められることになりました。また、これらの写本は、羊皮紙に、必ず手書きでなされ、一文字たりとも間違わないで書き写すルールがヤブネの難民キャンプでの会議で定められたのです。そのルールは、いずれご紹介しましょう。羊皮紙に書かれたトーラーは、巻物になっていて、これを延ばすと18メートルくらいになるのだそうです。神戸のある学者が、実際に測ってくださいました。重厚な文書です。
 この画像のトーラーは、90年ほど前に手書きで書き写されたもので、最近まで、ロシアにいたユダヤ人社会で用いられていたものです。日本聖書協会が入手し、同協会の聖書図書館に展示してありますので、ぜひご覧ください。
(聖書図書館 03-3567-1995)

トーラー 写真

トーラー

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 OHP化した資料のリスト差し上げます。メールで、添付資料としてお届けいたします。ただし、テキストは、Microsoft Wordです。これは、無償で贈呈させていただきます。メールでお申し付けください。また、OHP資料のご説明等も承ります。教会、学校の集会、研修会等にご利用いただければ幸いです。ご希望を承ります。
2001.Jul.25
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