このコラムでは、聖書の歴史資料、写本、翻訳等を、画像でお目にかけようと思います。それはわくわくするような世界です。さらに聖書を身近に感じていただいて、読みたいという意欲をお持ちいただきたいと願ってお届けいたします。
なお、わたしは、これらの画像の内、68枚ほどを、オーバーヘッド プロジェクター(OHP)のフィルムにして、多数の方々にご覧いただけるようにしています。ご利用いただければ幸いです。なお、この文の最後にご案内を掲載いたしますので、よろしければご利用ください。

前回ご案内しましように、90年頃、ヘブライ語聖書、特に「モーセ五書(トーラー)」の写本の方法、つまり写本のルールが、ユダヤ教の最高会議で決定されました。ラビ アキバ等の名が残っているのですが、二世紀になって「マソラ本文」と呼ばれるようになるヘブライ語本文がこのころ決定したと伝えられています。この画像でお目にかけるヘブライ語写本は、「アレッポ写本」と呼ばれるもので、シリアのアレッポ図書館にその現物は保存されているそうで、他の写本の場合も、その保存されている博物館、図書館等の地名から、このような写本の名が付けられているのだそうです。
「アレッポ写本」(画像は申命記の一部)は、930年に書かれたもので、一部破損はしていますが、ヘブライ語聖書全部を含んでいます。巻末の記録によると、アロン・ベン・モーセ・ベン・アシェルが符号をつけたマソラのテキストから写本を製作したと記されています(佐藤著 バイブル・ロード70頁)。
もう一つ前提として頭に入れておいていただきたいのは、旧約聖書、新約聖書とも、その原本は現在存在しないということです。それで、写本等の研究により、聖書の原本の復元作業が、現在も続けられているのです。
このような写本は、羊皮紙になされるのですが、何度も開いたり閉じたりする内に、羊皮紙が擦り切れて読みづらくなるのです。そうなると、新しい写本を、古い写本が読めなくなる前に作ることになります。実は、この「アレッポ写本」は、1947年、「死海写本」が発見されるまで、最古のヘブライ語写本だと考えられていました。というのは、最初写本作製のルールが決められた時、写本が作製され、数度の点検を経て、書き写した文字に間違いがないことが明確になった時点で、書き写された古い写本は、しばらくシナゴーグ、ユダヤ教の会堂にあるゲニザに保管され、やがて破棄されるというルールがあったのだそうです。それで930年の「アレッポ写本」より古いものが無く、最古の写本と考えられてきたのです。
なぜ、古い写本を破棄したのか、その理由はよく分かっていないそうですが、わたしの想像では、神の名を記された文書が、敵の手に渡って辱められてはいけないので完全に消滅させる方法で処分されたのではないかと考えることができると思います。それも10世紀になると、少し気持ちもゆるんだのか、この「アレッポ写本」や、次回お目にかける「レニングラード写本」(1008年)のものなど、処分されずに残っていたのです。
次回、9月25日更新分で、「レニングラード写本」のご案内をいたします。
OHP化した資料のリスト差し上げます。メールで、添付資料としてお届けいたします。ただし、テキストは、Microsoft Wordです。これは、無償で贈呈させていただきます。メールでお申し付けください。また、OHP資料のご説明等も承ります。教会、学校の集会、研修会等にご利用いただければ幸いです。ご希望を承ります。