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画像で見る聖書の歴史
資料編7
飛び上がったアイン
日本聖書協会 前総主事 佐藤邦宏
このコラムでは、聖書の歴史資料、写本、翻訳等を画像でお目にかけようと思います。それはわくわくするような世界です。さらに聖書を身近に感じていただいて、お読みになりたいという意欲をお持ちいただきたいと願ってお届けいたします。
なお、わたしは、これらの画像の内、68ほどをオーバーヘッド プロジェクター(OHP)のフィルムにして、多数の方々に、ご説明しながらご覧いただけるようにしています。ご利用いただければ幸いです。なお、この文の最後にご案内を掲載いたしますので、よろしければご利用ください。
7 飛び上がったアイン
ヘブライ語聖書の写本を正確に行うため、2世紀初頭のヤブネ会議で、ヘブライ語聖書の範囲が決定されると共に、これを書き写す、つまり写本を正確に行う方法が定められました。前回、1947年に発見された紀元前2世紀の「死海写本」と、1008年に書かれたレニングラード写本のイザヤ書が、ほぼ完全に一致していたことを申しました。両者が書かれた時代には、1200年ほども開きがあるのです。にも拘わらず、ほぼ一致しているとは驚きです。その間、何度書き写されたのでしょうか。
写本の正確さを示す例が、この複写図でご覧いただけます。これはレニングラード写本のファクシミリ版のコピーです。赤のアンダーラインで示した、英語のYの字に似た、ヘブライ語では「アイン」と呼ぶ文字が、飛び上がって書かれているのがお分かりでしょうか。ヘブライ語は、文字の上が揃っているので、目立つのではないかと思います。
レニングラード写本のコピーの下に、少し斜めにコピーしましたのは、1977年ドイツで印刷発刊のヘブライ語聖書BHS(ビブリア ヘブライカ シュトットガルテンシア)で、これもちゃんと一文字飛び上がっているのがお分かりいただけると思います。ちなみに、BHSは、現在世界の旧約聖書翻訳の底本として用いられているものです。
この文字「アイン」は、実は、詩編80編14節にある文字で、150編ある詩編の真ん中の文字です。「飛び上がったアイン」、あるいは「宙づり文字、アイン」とも呼ばれ、写本を正確に行うための印となっているのです。つまり、詩編の前から数えても、あるいは後ろから数えても同じ数の文字数の場所に書かれているのです。
写本を作る人は、「写字生(ソフェリーム)」と呼ばれ、ソーフェル「数える」というヘブライ語からきていると言われています。むしろ「数える奴」というような、多少蔑称を含んだ言い方だという人もあります。文字を正確に書き写すというのに、文字数を正確に数えて、間違い探しの第1段階としていたことが伺えます。
「モーセ5書」の真ん中の文字を示す「大きなヴァウ」などもあり、写本を正確に行ういろいろな工夫の跡が偲ばれます。
次回は、12月25日更新予定で、「パリムプセスト(重記写本)」についてご案内の予定です。
ご案内
OHP化した資料のリスト差し上げます。メールで、添付資料としてお届けいたします。テキストは、マイクロソフトのワードです。これは無償でご提供いたしますので、お申し付けください。
わたしは、だきるだけ多くの皆様に、聖書のすばらしい歴史、そして聖書の言葉を正確に伝える努力を知っていただきたいために、OHPとして分かり易いものにいたしました。今まで、180ほどの教会、50ほどの学校にお招きいただきましたが、わたしのひとつの召命として、聖書への関心の高揚心の普及に取り組んでまいりたいと思っています。ご利用いただければ幸いです。
なお、このホームページ運用者である、わたし佐藤邦宏は、1987年4月から、1999年3月まで12年間、財団法人 日本聖書協会 総主事として、「聖書 新共同訳」の発刊、その普及、そして世界の聖書事業に参加させていただく機会を得、感謝しています。特に、「聖書 新共同訳」の発刊では、「聖書の新しい翻訳はなぜ必要か」、「翻訳はどのように進めるのか」、「教会でどの翻訳の聖書を使用するかは誰が決めるのか」、など、多くの重要で貴重なご質問に出会い、苦心もいたしました。これらのご質問にお答えするのは、教会の存立、宣教においても、また、文化史的な意味でも、とても大切なことであると身をもって知ることができました。このあたりを、記録、整理して、皆様とご一緒に考え、次の世代へ引き継ぎたく、書き留める必要を感じるようになりました。
12月25日更新の当ホームページから、「日本聖書協会での12年」と題して、その辺りを記録してみようと思います。ご高覧いただければ幸いに存じます。また、ご意見等も承れればありがたいと思います。皆様との対話の中で進めさせていただきたいと願っています。また、多くの皆様に、ご一読をお奨めいただければまことに幸いに存じます。ご指導をよろしくお願いいたします。
主のご降誕をお迎えする季節、皆様の上に、豊かな主の祝福がありますよう。
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2001.Nov.25
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