画像で見る聖書の歴史
資料編8
パリムプセスト
日本聖書協会 前総主事 佐藤邦宏

 このコラムでは、聖書の歴史資料、写本、翻訳等を画像でお目にかけようと思います。それはわくわくするような世界です。さらに聖書を身近に感じていただいて、お読みになりたいという意欲をお持ちいただきたいと願ってお届けいたします。
 なお、わたしは、これらの画像の内、68ほどをオーバーヘッド プロジェクター(OHP)のフィルムにして、多数の方々に、ご説明しながらご覧いただけるようにしています。ご利用いただければ幸いです。なお、この文の最後にご案内を掲載いたしますので、よろしければご利用ください。

8 パリムプセスト(重記写本)
パリムプセスト
 聖書は、最初手書きの文字で伝えられてきましたが、主にパピルスに書き記されて伝えられました。4世紀頃になると、次第に羊の革などをなめして作った羊皮紙などが用いられるようになりました。羊皮紙は、長く保存し、何度も読むのに便利な筆記用材料であります。しかし、何と言っても高価なものです。しかも、何度も広げては読み、読んでは元通り巻き戻すのですから、すり減ってきて、読みづらくなります。それで、読みづらくなってきた羊皮紙を、もう一度なめし直し、文字を消して新しく書くようにしました。いわゆる再生羊皮紙です。
 この再生羊皮紙に、新しく聖書を書き写すのですが、年数が経つと、以前なめし直し、消したはずの文字が浮き上がってきて、新しく書いた文字と二重に見えてくるようになるのです。それを「重記写本 パリムプセスト」と読んでいるのです。
 消えたはずの古い文字が浮かび上がって読めるのですから、写本を研究して、失われた聖書の原文を回復させたいと願う研究者たちには、非常に大切なものであるのです。
 この図のパリムプセストは、残念ながら、はっきりとは見にくいのですが、6世紀に書かれたウルガタ(ラテン語)訳の聖書のパリムプセストです。比較的大きい文字の行間に、小さな文字の行をご覧いただけると思います。残念ながら、わたしには、どちらが最初に書かれた文字であるのかわかりませんが、このようなものまで用いて、聖書の原典を復元しようとする努力には、頭が下がる思いです。
 なお、このパリムプセストのコピーは、聖書協会世界連盟のアジア地区翻訳研修会で、フィリピン人のある若い聖書学者が持っていたのを、頼み込んでコピーさせていただいたものです。
 7世紀になると、このように聖書の写本を再利用したり、他の目的に用いたりすることが、教会法により禁止されました。ということは、パリムプセストは、そのころまで用いられていたということになるのでしょうか。わたしは、ドイツのミュンスターにある聖書博物館で、13世紀に作られたパリムプセストが展示されていたのを見ましたから、禁止後も、パリムプセストは製作されていたことになるのでしょうか。(参考 「バイブルロード」P75 佐藤邦宏著 教文館 )。

ご案内
 OHP化した資料のリスト差し上げます。メールで、添付資料としてお届けいたします。テキストは、マイクロソフトのワードです。これは無償でご提供いたしますので、お申し付けください。
 わたしは、だきるだけ多くの皆様に、聖書のすばらしい歴史、そして聖書の言葉を正確に伝える努力を知っていただきたいために、OHPとして分かり易いものにいたしました。今まで、180ほどの教会、50ほどの学校にお招きいただきましたが、わたしのひとつの召命として、聖書への関心の高揚心の普及に取り組んでまいりたいと思っています。ご利用いただければ幸いです。
2001.Dec.25
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