ソロモン王 即位のエピソード

 

 主はギブオンでソロモンの夢枕に立ち、『何事でも願うがよい。あなたに与えよう』と言われた。ソロモンは答えた。『あなたの僕、わたしの父ダビデは忠実に、憐れみ深く正しい心をもって御前を歩んだので、あなたは父に豊かな慈しみをお示しになりました。またあなたはその豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになりました。またあなたはその豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになって、今日その王座につく子を父に与えられました。わが神、主よ、あなたは父ダビデに代わる王として、この僕をお立てにになりました。しかし、わたしは取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。僕はあなたのお選びになった民の中にいますが、その民は多く、数えることも調べることもできないほどです。どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪とを判断するとができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが誰にできましょう。』

 主はソロモンのこの願いをお喜びになった。神はこう言われた。『あなたは自分のために長寿を求めず、富を求めず、また敵の命を求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。もしあなたが父ダビデの歩んだように、わたしの掟と戒めを守って、わたしの道を歩むなら、あなたに長寿をも恵もう。』」

                     (旧約聖書 列王記上3章5節から14節)


 ソロモンの父ダビデは、イスラエルを統一して王に即位しました。それはキリスト降誕前1004年のことでした。ダビデの後継者として、ソロモンは、異母兄弟たちと、王位継承を巡って、争いや謀略の渦に巻き込まれてしまいますが、祭司ツァドクは、ソロモンに油を注いで王とし、民もソロモンに従うことを表明しました。(列王記上1章) そこでソロモンの夢に現れた主なる神が、前述の知恵と富とを約束されたというのです。

  多くの場合、人は、自分でことを決定できるよう立場になることを望むようです。中でも政治権力を持つことは、大きな魅力であることに違いありません。政治家もそうですが、人の頭に立ち、力を振るうことを願うこと自体は悪では無いと思います。しかし、そのような権力者であればあるほど、単に力を求めるのではなく、知恵を求め、自らの決断が、多くの人々の暮らし、生命にさえ大きな影響をもたらすことへの配慮と、それを受け入れ認める謙虚さが必要になるのではないでしょうか。

 このような謙虚さを知る指導者を持たない人々は、悲惨な未来を持つかもしれないのです。最近、政治家もそうですが、企業のトップが逮捕されたり、責任を引き受ける腹の据わった発言が聞けなかったりするのは残念なことです。今日一国の王とまではいかなくても、企業の経営者のように、上に立つ方々は、ぜひこのソロモン王の心を、つまり目先の力や権力ではなく、事柄を根本から処理することができ、人の生命と生きる権利を守る豊かな知恵と心を求めていただきたいものです。


*お願い 指定された聖書の箇所は、必ずお読みくださるようお願いいたします。このコラムで用います聖書は、「聖書 新共同訳」(財団法人 日本聖書協会発行 1997年版)を用います。


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