
聖書周辺の旅-愛徳印刷廠開所式での挨拶-
前回、蒋介石総統の、終戦を告げる放送について掲載しました。今回も、中国関連の出来事についてご報告いたします。
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1987年12月5日に、開所式を祝った、中国南京に建設された聖書印刷工場である愛徳印刷廠は、その後順調に聖書印刷、製本を続け、1999年3月16日に、2千万冊達成感謝の祝賀会が、
南京の印刷廠で開催されました。この印刷廠で印刷された聖書は、現在、全中国に設けられている60に上る配送センターへ輸送され、そこから教会などへ届けられています。現在は、公認、非公認教会の区別なく、また、個人ででも、それらのセンターから、自由に中国語聖書を購入できるようになっています。
この印刷廠は、世界の聖書協会が中国基督教会、そして中国政府とも協議の上、建設を決めたものです。世界中で募金し、当時約16億円ほどで建設されたものです。日本でも、このために1億円を目標に募金をし、建設費として捧げ、建設に参加しました。現在は、年間250万冊ほどの、聖書製作が毎年政府に承認されています。中国は、資源が不足しているせいもあって、今でも、政府の許可を予め得て、製作にかからねばなりませんが、今まで一度も、聖書製作の年度計画の削減を、政府から求められたことはないのだそうです。日本からも、毎年、印刷用紙のための献金をしています。1987年12月5日の開所式に、私は、日本聖書協会を代表して招かれました。中国の地に、うなりを立てて回転している巨大な印刷機に、いたく感激したことを覚えています。
その夜、南京神学校で開催された、感謝礼拝で、聖書協会世界連盟の代表に並んで、日本を代表しての挨拶を求められました。南京は、ご承知のように、南京事件の地です。南京に着いて数日後、私は「日軍虐殺記念館」へ連れていってくれるようタクシーの運転手に頼みました。漢字で書けば通じるのです。ところがタクシーの運転手は、私のペンを取り上げ、「虐殺」の文字を消し、「日軍屠殺記念館」と書き直しました。私は、頷いてタクシーに乗り込みました。行ってみると、まさに日本軍による屠殺としか言えない記録の展示がありました。いずれにしても、私は、息を飲む以外に、何もできませんでした。
南京の場合もそうですが、たとえば韓国にも植民地時代を記録したも記念碑や、記念館があり、中国人も、韓国の方も、日常的にそれらを見ながら、歴史をしのんでおられるのです。何はともあれ、そのような、民衆の心、気持ちを、私たち日本人は大切にしなければならないと思います。
さて、南京神学校での、私の挨拶です。挨拶は、英語でいたしましたが、即座に中国語に通訳されました。以下、そのときの挨拶を記しておきます。
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「このような歴史的な礼拝において、ご挨拶の機会をいただきましたことは、大変名誉なことだと感謝申し上げます。日本のクリスチャンの皆さんからと、日本聖書協会からのお祝いのご挨拶を申し上げます。
私たち日本人はその長い歴史の中で、中国の皆様とお国から、たくさんのことを学ばせていただきました。また、私たちの文化の中に、お国から得た影響はけして小さいものではございません。私たちは、漢字を用いますし、また、食事には箸を用います。
1859年、日本は鎖国を解き、開国しました。しかし、1873年までは、キリスト教、それまではキリシタンと呼ばれていましたが、その働きや、礼拝、布教活動は日本政府により、禁止されていました。しかし、私が最近知ったことですが、1873(明治6)年当時、1万人のクリスチャンが日本にいたのだそうです。彼らは、中国語の聖書を読んでいたのだそうです。キリスト教の信仰は、欧米の宣教師によって伝えられましたが、聖書のメッセージは、中国語聖書により、それより早く日本に届けられていたのです。何とすばらしいことではないでしょうか。神様は、日本に影響を長い間与えていたお国の文化をお用いになったのでした。
しかし、その後、お国と日本の間に、長く悲劇的な関係がありました。日本の軍隊はお国を始め、アジア諸国を侵略しました。その時、日本のクリスチャンは、それを阻止することもできず、また多くの場合、阻止しようともしませんでした。私たちは、平和の王、私たちの主であるイエス キリストに従わなかったのです。どうぞお赦しください。
しかし、今日本のクリスチャンの多くは、この南京における愛徳印刷廠、聖書印刷工場建設の計画に素早く反応しました。特に、南京という地名は、私たちにとって深い慚愧の思いで響いているのです。私たち日本のクリスチャンの、悔い改めのしるしのごく一部であるかもしれませんが、この計画支援のために立ち上がりました。私たちは、赦しの神の力と、中国の皆様の寛大さにすがって、この工場が、和解と平和の証しのしるしの一つとなるよう心から祈りながら募金に応じました。もちろん、それに加えて、信仰の告白へ導く言葉であり、和解と赦し、そして希望である神の言葉、つまり聖書を、多くの方々におとどけする大切な働きにこのような形で、参加させていただきたいという願いから、日本のクリスチャンも立ち上がりました。
聖書を製作し、これをお届けするという働きは、大きな、そして広い意味を持っています。聖書は、キリスト教信仰の土台であるだけではありません。多くの人々のより高い道徳性や、人間性を生み出し、これを守る力があります。今後、お国と日本の間に、そして他の多くの国や民族の間に、積極的な関係が築きあげられ、平和と学び会う間柄がますます広がっていくよう期待したいと思います。
特に愛徳印刷廠のこれからと、その実現に努力された皆様、そしてお国の未来に、さらに中国のすべての皆様の上に、神様の祝福が豊かにありますよう、私たち日本のクリスチャンと共に、心からお祈りいたします。」
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