ポーランド聖書協会 創立175周年記念式典におけるご挨拶

 前回、南京の愛徳印刷工場開所式感謝会でのご挨拶を、お届けしました。また、わたしのご挨拶の記録で恐縮ですが、日本聖書協会と、日本の教会からのご挨拶のつもりで、ご挨拶をしましたので、皆さまにお届けいたしたいと思います。  

 1991年9月14日、ワルシャワのルーテル教会の円形礼拝堂で、記念式典が行われ、ポーランドの方々の出席に加え、世界各国の教会や、聖書協会の代表の出席の元に、礼拝式が行われ、記念式がそれに続きました。1989年、ベルリンの壁の崩壊に象徴される社会主義国家体制の崩壊により、東欧の国々に大きな変化が起こりました。それは歴史に残る大きな出来事であったのは、わたしたちの記憶に新しいことです。実は、民衆の間から、聖書が欲しいという声が起こったのです。聖書協会世界連盟の調査では、600万冊の聖書が緊急に必要と認められ、日本円にすると、総額90億円の募金が世界中に呼びかけられて開始されました。日本聖書協会の理事会でも1990年5月25日、募金の呼びかけに応えることにし、世界の目標の1%である、9000万円を日本国内目標として、「東欧旧ソ連」諸国への聖書供給のための募金を開始することになりました。それは 、94年1月に、多くの教会のご参加により、達成しました。その募金の始まりの時でもありましたので、ワルシャワでの記念式は、熱のこもったものになりました。挨拶は、英語で行いましたが、日本語に訳してお届けいたします。

 

 「もし皆様が、日本という言葉をお聞きになったら、何をイメージされますか。トヨタでしょうか、ニッサンでしょうか。それとも、数々の電化製品でしょうか。あるいはカメラでしょうか。日本は20世紀前半において、まことに恥ずかしい歴史を重ねました。アジアの諸国に侵略したのです。そして世界の多くの国々と戦争をしました。そして1945年、それは日本の敗戦で終わりました。それから日本は、変わったのでしょうか。日本は、依然として、他の国を、自動車、電化製品、カメラなどによって侵略しようとしているのでしょうか。 いいえ日本、日本人は変わったのです。皆さんと同じように、家族を愛し、人を、そして自然を愛する者となりました。多くの日本人は、聖書を求めています。日本聖書協会は、毎年100万冊の聖書、新約聖書を頒布しています。日本のクリスチャンは、総人口の1%にも満たないのですが、多くの聖書が、一般の書店でも売られているのです。

 日本は、長い間独自の文化を築いてきました。16世紀、カトリック教会の宣教師たちが日本へ参りました。日本人とキリスト教の最初の出会いでした。その時、宣教師たちは、聖書を日本語に翻訳しませんでした。その後、迫害が起こり、キリスト教会は消え去ったように見えました。 1804年、英国に聖書協会が組織されると、聖書翻訳を志す多くの人々がアジアにもやってきました。その一人であるギュツラフが、漂流した日本人の船員たちの助けを借りて、マカオでヨハネ福音書を日本語に翻訳し、シンガポールで印刷とたものが、今ある日本語聖書では、最も古いものです。1837年のことです。 1859年、日本は鎖国を解き、世界に扉を開きました。多くの宣教師たちが日本へ来て、1887年に、最初の日本語聖書の翻訳が完成しました。

 明治維新が起こると、日本は、世界と肩を並べるため、工業化を進め、軍事力を強化しました。そして天皇を神格化し、最高の道徳とし、これに従うことが求められました。しかし1945年、戦争に敗れると、この価値が全く消え失せてしまいました。多くの日本人は、どうしたらよいのか、分からなくなってしまったのです。希望も、未来も失ったように思えました。日本聖書協会は、聖書を希望の書として届けようと思ったのですが、聖書が無く、1945年に配布した聖書は、27冊だけでした。聖書も、新約聖書もなかったのです。その時、700万冊の新約聖書が、アメリカや他の国から日本へ贈られました。それらはGoodwill Bookと呼ばれるもので、当時、8人の成人に1冊の割合で贈られました。この聖書により、日本人は、新しい希望を見いだすことができましたし、聖書協会も、それを売ることにより、その後の発展の基礎を築くことができました。 今日の日本の発展にも、貢献したと思います。

 今、皆さんが、急激な社会変化の中で戸惑っておられる様子を伺い、わたしたち日本の教会は、あの当時のわたしたちの事を強く思い出しています。あの時、聖書に励まされたのです。「今度は、わたしたちの番」(This is our Turn) です。日本聖書協会は、「今度は、わたしたちの番」だという言葉を合い言葉にして、東欧旧ソ連の皆様に、聖書をお届けしよう と立ち上がりました。「今度は、わたしたちが、聖書をお届けする番です」。

*この募金は、多くの皆様のご参加を得て、94年1月、募金期間3年半で達成できました。ご協力により、目標の9千万円、東欧旧ソ連の皆様に、聖書をお届けするために、聖書協会世界連盟を通してお届けできました。


 

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