
受験をめざすあなたへ 入学試験の季節がきました。皆さんが、初期の希望をはたしていただきたいものです。 特に大学を志す方へ、聖書の言葉を聞いていただきたいと思います。「わたしの選ぶ断食とはこれではないか。 悪による束縛を断ち、くびきの結び目をほどいて 虐げられた人を解放し、くびきをことごとく折ること。 更に、飢えた人にあなたのパンを裂き与え さまよう貧しい人を家に招き入れ 裸の人に会えば衣を着せかけ 同胞に助けを惜しまないこと。 そうすれば、あなたの光は曙のように射しい出 あなたの傷は速やかにいやされる。 あなたの正義があなたを先導し 主の栄光があなたのしんがりを守る。 あなたが呼べば主は答え あなたが叫べば 「わたしはここにいる」と(神は)言われる。(イザヤ書58章6―9節)
なぜ大学に進学するのか。その答えは、いろいろあり、あなた自身で見いだしていただか なくてはなりません。実は、大学に進学したくても、経済的理由その他で、涙をのんでいる 若者も少なくないのです。彼らは、その納める税金で、あなたの大学を支えることになるの です。そのような人たちにも支えられて、あなたは大学をめざしているのです。ぜひ、念願 を遂げていただきたいと思います。 国際キリスト教大学の金子教授のお話では、中世期に大学が、ヨーロッパ諸国で設立され たのだが、食べ物のおいしい町、オペラを上演する町に、まず大学が設立されたのだそうで す。詳しいことは避けますが、学術と共に、教養を重視し、それが大学の理念になったとい うのです。 たとえば、高校教育では、問題に対する正解は、一つだけです。これが、大学教育になる と、正解が複数ある場合があるのです。あの立場も正しいが、こちらの立場にも正しいもの がある。それを分析して、より高度の結論を導き出す、つまり、物事を、比較検討して、よ りよい答えを探す、弁証法と呼ばれる方法を学ぶのです。それには、自分の経験以外の、広 い文化との接触、いろいろな違った考えを持った人との出会いが大切です。おいしい食事も、 オペラも、その出会いをまとめてくれる文化です。 冒頭のイザヤ言葉は、単に、困った人を助けなさいというのではなく、この世界を、共に 生きるにはどうしたらよいのかという問いを発しているのです。 あの人がいる、この人がいる、その出会いの中で、対話が進めば、もっとすごい、すばら しいことが見えてくるぞ、と言っているのです。そのような、広がり、ゆとりを、大学で、 ぜひ自分のものにしてください。飢えた人、さまよう貧しい人、裸でいる人、それは助ける 相手でありますが、それより、共に生きる人たちです。そのような発見、それが大学教育の 中で起こることなのです。仮に大学へ行けなくても、人間として、自分の廻りの人を、肯定 的に見ることができれば、大学教育に勝るものを自らのものにすることができるはずです。 もちろん、大学で、専門知識を身につけ、将来、専門職として世に出ることを望むのも大 切です。それは、共に世界を築く「共生」を、視点の中心において、心豊かな社会形成を目 指して生き抜くことです。 人とどう向き合うか、物事をどう見極めるか、それを、複数の答えを、一つ一つ積み上げ て、皆でどう生きたらよいのか、その答えを見いだしてください。世界に自分の視野を持つ こと、交流の中に、素晴らしい命の未来を見ること。学ぶことは、たくさんあります。 「主の栄光があなたのしんがりを守る」悔いのない人生を、堂々と生きてください。主な る神が、あなたを支えていてくださいます。
2000.1.25.
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